野球肩のチェックでは、肩の痛みを確認するだけでなく、どのような動作で痛みが出るのかを調べることが重要です。

特に注目したいのが、投球時に腕を後ろへ引く動作です。肩関節を90度外転させ、最大外旋したときに痛みが出る場合、インターナルインピンジメントが起きている可能性を考えます。

ただし、同じ動作で痛みが出る肩関節障害はほかにもあるため、このチェックだけで原因を確定することはできません。

この記事では、野球肩の具体的なチェック方法、インターナルインピンジメントが起こる仕組み、痛みの原因を見極めるために重要な検査について解説します。

野球肩のチェックは腕を後ろへ引く動作が重要

野球肩の検査では、投球動作の中でも腕を後ろへ引く動きを確認することが多くあります。

この動作は「レイトコッキング期」と呼ばれ、肩関節が大きく外旋するタイミングです。

投球動作の中でも肩関節に大きな負担がかかる場面であり、腱板や関節唇などに問題がある場合、この姿勢で痛みが現れることがあります。

肩を90度外転させて最大外旋する

野球肩のチェック方法の一つが、肩関節を90度外転させた状態から最大外旋する動作です。

具体的には、腕を肩の高さまで横に上げ、肘を90度に曲げた状態から、前腕を後方へ倒すように肩を外旋させます。

この動作によって、投球時に腕を後ろへ引く姿勢を再現します。

確認するポイントは、最大外旋に近づいたときに痛みが出るかどうかです。

無理に肩を動かすと症状が悪化するおそれがあるため、痛みを我慢して行わないようにしてください。

最大外旋時に痛みが出る場合に考えられること

90度外転位で最大外旋したときに痛みが出る場合、インターナルインピンジメントを疑う重要な手がかりになります。

特に、実際の投球動作でも腕を後ろへ引いたときに痛みが出る場合には、この動作と症状の関係を詳しく確認する必要があります。

ただし、肩関節の不安定性や関節唇損傷などでも同様の症状が現れるため、痛みが出ることだけでインターナルインピンジメントと断定することはできません。

インターナルインピンジメントとは?

インターナルインピンジメントとは、肩関節を外転・外旋したときに、腱板の関節面側が肩甲骨の関節窩後上方と接触する現象です。

野球選手では、投球時に腕を大きく後ろへ引く動作が繰り返されるため、この部分に負担が蓄積することがあります。

接触そのものは正常な肩関節でも起こりますが、繰り返しの負担によって痛みや組織損傷につながる場合があります。

投球動作でインターナルインピンジメントが起こる仕組み

肩関節は、上腕骨頭と肩甲骨の関節窩によって構成されています。

投球時に腕を後ろへ引くと、肩関節が大きく外旋し、上腕骨の大結節付近にある腱板が関節窩の後上方に接近します。

このとき、棘上筋や棘下筋の腱の関節面側が接触することがあります。

投球を繰り返すことで負担が蓄積すると、腱板や関節唇の損傷につながる可能性があります。

インターナルインピンジメントと腱板損傷の関係

腱板とは、肩関節を安定させる4つの筋肉とその腱から構成される組織です。

野球選手では、投球動作によって腱板に繰り返し負担がかかります。

特にインターナルインピンジメントでは、棘上筋や棘下筋の関節面側に部分損傷がみられる場合があります。

また、関節唇にも負担がかかり、損傷を伴うことがあります。

ただし、インターナルインピンジメントが疑われても、必ず腱板が損傷しているわけではありません。

野球肩は痛みが出る動作だけで原因を判断できない

野球肩のチェックでは、90度外転位で最大外旋したときに痛みが出るかどうかが重要な確認ポイントになります。

しかし、痛みが再現されたことだけでは、どの組織に問題があるのか、なぜ肩に負担がかかっているのかまでは判断できません。

そのため、徒手検査や身体の動きを確認する必要があります。

徒手検査で肩関節や腱板の状態を確認する

徒手検査では、肩関節の可動域や筋力、関節の安定性などを確認します。

例えば、肩を外旋させたときの痛みに加えて、どの角度で痛みが出るのか、筋力低下があるのか、不安定感があるのかなどを調べます。

複数の検査を組み合わせることで、痛みの原因となる組織や機能の問題を絞り込んでいきます。

必要に応じて、医療機関でMRIなどの画像検査を行うことも重要です。

代償動作から肩に負担がかかる原因を探る

野球肩の評価では、肩関節だけでなく、代償動作を確認することも重要です。

代償動作とは、本来必要な動きが十分に行えないときに、別の関節や筋肉の動きで補うことです。

例えば、肩関節の可動域が不足している場合、体幹を反らせたり、肩甲骨を過剰に動かしたりして腕を後ろへ引くことがあります。

こうした動きが投球時の肩への負担に関係している可能性があるため、肩甲骨や体幹、股関節なども含めて評価することが大切です。

野球肩を改善するために必要なこと

野球肩の改善では、痛みを軽減するだけでなく、なぜ投球時に肩へ負担がかかっているのかを確認することが重要です。

特に、肩関節の可動域や腱板の機能、肩甲骨や体幹の動きなどを総合的に評価する必要があります。

痛みがなくなることと原因が改善することは違う

野球肩では、投球を休むことで痛みが軽減することがあります。

しかし、痛みがなくなったからといって、肩関節の機能や投球動作の問題が改善されたとは限りません。

可動域制限や筋力低下、代償動作などが残っている場合、投球を再開することで再び症状が現れる可能性があります。

痛みの消失と、痛みが発生する原因の改善は別の問題です。

そのため、痛みだけでなく、投球に必要な身体機能が回復しているかを確認することが大切です。

投球動作で痛みが出ない状態を目指す

野球肩の改善では、日常生活で痛みがなくなるだけでなく、投球動作を問題なく行える状態を目指します。

肩関節の可動域や筋力、安定性などを確認しながら、段階的に投球負荷を増やしていくことが重要です。

特に最大外旋時に痛みが出ていた場合には、その動作での症状や身体機能の変化を確認します。

痛みが続く場合は無理に投球せず、スポーツ整形外科などで適切な診察を受けてください。

まとめ|野球肩のチェックは最大外旋時の痛みが重要

野球肩のチェックでは、肩関節を90度外転させ、最大外旋したときに痛みが出るかを確認することが重要です。

この動作で痛みが出る場合、インターナルインピンジメントの可能性を考えます。

ただし、痛みが出る動作だけで原因を確定することはできません。

大切なのは、徒手検査や代償動作の評価を通じて、なぜ肩に負担がかかっているのかを見極めることです。

投稿者プロフィール

奥田 剛
奥田 剛
帝京高校野球部で甲子園に3回出場し、高校日本代表、早稲田大学、社会人野球を経験。自身のケガをきっかけに柔道整復師となり、整形外科勤務では肩・肘を中心に多くの症例に携わる。現在は身体の使い方や動きまで確認し、再発しにくい身体づくりをサポートしている。